「ヨガ解剖学」というジャンルを謡い始め10年以上の時が流れました。
当時のヨガ業界には「解剖学っぽいもの」は沢山ありましたが、僕からすると、それらと「解剖学」は全く違うものという想いがあり、それを良しとする風潮が嫌で嫌でたまらなく、怒りと絶望とやるせさで一杯であり、もしも、畑に例えるならば、果樹を育てる以前の問題でり、整地から初める作業しか選択肢には無かったかとお思います。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、それを仕事にする事は、灯り一つない山道を、何も持たずに歩いていくような、無謀で無茶苦茶な行為だったのでしょう。
そんな時、一人の仲間が現れました。ヨガジェネレーションさんから声をかけて頂いたのが、今から丁度10年前、2010年の秋、京都建仁寺のイベント、YOGA smileになります。社長のミキさんは当時の事を呆れた顔でこう振り返ります。
「初対面なのに、業界批判のような言葉を延々と語る事数時間、俺まで怒られているような気がしたよ。何なんだこの人は…」確かに、建仁寺は夕暮れを超えすっかり夜になっていました。(僕はてっきり共感されているのだと決め込んでいましたが、引かれていたのね…この時から、今に至り、空気の読み間違えは治っていません)。
「骨ってなんだろう」「筋肉ってなんだろう」という身体のイロハのイに当たる講座が、ヨガジェネさんとの初コラボの講座になりました。更にその先にもう一つ講座を設けました。ヨガインストラクターならばもう少し知っておいた方が良いよ!という意味で作り上げた「6日間ヨガティチャーズトレーニング」(以下「6日間」)という講座がそれです。
その「6日間」でこだわった事は「筋肉の触察」です。身体に関わるプロならば、ましてや、何かと筋肉を語るのならば、この筋肉って、この辺にあるよ!ではなく、ここからここに向かって走る筋肉という明確な指標を持ってクラスに臨んだほうが堂々とクラスが出来るのでは!そんな訳で徹底的に拘りたかったのです。
しかし、これが必要以上に高いハードルになってしまったようで、講座は中々定着しませんでした。(この講座、めちゃくちゃ喜ばれるだろうなぁと、ほくそ笑んでいたのですが、蓋を開けると…時代のニーズを切り取る事が出来ない、僕の空気の読み間違えから、悲劇の連続でした)。
京都で6日間を初開催をした時、講座中、講座後に、本当に途中で帰りたかったんです。朝、来る時、吐き気がしていましたなどなど、散々な感想を頂きました。今、振り返ると、
空気を読む力、時代を切り取る力が僕には全く無いのです。
10年を一区切りとし、振り返ってみたしたが、それでもどうにか、6日間は続いています。
今年は、歴史に残るコロナ禍に巻き込まれ、止む無く「触察」から離れざる得なかった残念な事もありますが、それでもなんとかこの講座残っています。
ある意味、僕の中で、1番思い入れが深いもので、大切にしている講座です。
僕は未だに「腸腰筋」がどのような筋肉なのか疑問だらけです。
だからこそ、「腸腰筋」がさぁ!などと言われると、ついつい「えっ、腸腰筋の事知ってるの?ならば是非、おしえて下さい!」とお聞きしたくなるのです。
言葉に余韻があるならば、筋肉にも余韻と呼ばれるような奥深さが存在するはずです。
純金でこしらえた30センチの定規を持っていても、海の深さは測れません。
空の蒼さも語れません。
こんな想いは今も変わらず、僕の根っ子になっているのです。
しかし、残念ながら、その想いも読み間違えなのかな!と、ひしひしと感じる2020年、12月ではありますが、
ヨガジェネ ミキさんに続き、僕にシンパシーを持ってくれる仲間がまだ存在します。
2019年から、アシスタントのさかたのりこのスタジオmanawa houseで更なる試み、実験的アプローチが始まったのです。