通り過ぎてきた人。

 

このビルは最近建ったものだ。

 

このビルは中学生の時、

同級だった

高梨さんの家である。

 

元々は八百屋だった。

 

今は違うのだろうか?

 

こんな大きな家で、大きな八百屋であったのだ。

 

思春期、ど真ん中のその頃。

 

誰もが女子の胸の膨らみに、

ドキドキとしたものだ。

 

時代の移り変わりを嘆いても仕方あるまい。

 

しかし、僕の通学路でもあったこの路には、このビルは無かったのだ。

 

しみじみと思う。

 

歳をとったのだと!

 

もう、何年も会っていないし、

会いたい気持ちさえなかったのに、

 

このビルの違和感が

記憶を引きずりだしてくれた。

 

通り過ぎてきた全ての人よ。

 

皆、皆、元気かい?