『うーん、唐揚げがパサパサしていて、美味しくない……これ冷凍食品ですか?』
それは、切り抜き動画から流れてきたショートストーリーでの会話。
アンガールズ(の1人)の学生時代のお弁当を再現し、共演女性タレントが食べみた感想。正確な言葉でないが『私の口に合わない!』という内容。
それを受け、『うちの母ちゃんは、看護師で忙しい中、必死にやりくりし、弁当作ってくれてたんだ、その中にインスタントの唐揚げがあってどこが悪い!』と切り返すシーン。
(勿論、TVだから全て段取りがあっての事で、切り抜き動画故に、捉え違えもあり得る)
アンガールズの方が誇りに思ってる遠い昔が、とても逞しく見えた。
『食の向こうに見え隠れする私の人生を、見ず知らずの人間に否定なんてされてたまるか!』
その心意気に励まされもした。
『食』という文化のリトマス紙に、オーガニック・マクロビ・無添加・自然栽培・無農薬・酵素・ミネラルなど身体に優しそうなイメージがあるもの。一方ではジャンクフード・コンビニ食と呼ばれる身体に悪いイメージの類いがある。
勿論、農薬や添加物は無い方が良い、全て手作りである事は安心の拠り所にもなりえる。但し、全ての家庭が、主婦がその理想だけで暮らし築き上げていけるのだろうか?
うちの母も、働きながら家事をし、裕福でない我が家では、母があれこれと工夫をし、少しでも安いもの、満腹感の出るものをこしらえてくれた。
魚肉ソーセージをマヨネーズに絡め焼いただけのおかずは大好物であり、未だ食べたい!と思うもの。赤いウインナーが身体に悪くとも、高級なウインナーでは物足りない何かがそこにある。
添加物、オメガ3、素材などの理想だけをかざされても困り果ててしまう。当時そんな知識を得る時間も術もなく、ひたすら家事と仕事に追い立てられ、働きづくしの母の人生に、オーガニックなどの文字は存在しない。
食は、家族だけに留まらず、全ての街に地域に根ざした文化がある。
〝粉もん〟という大阪文化を筆頭に、名古屋にも、沖縄にも、全国に独特の食がある。その多くはジャンクフードと呼ばれるものだ。
『ハムなんて添加物の固まりだよ!』
うん、うん、そんな事わかってる。
但し、食事は栄養価だけで成り立つものではない。地域や家庭に根ざした知恵や工夫や思想があり、そこから生き残ってきた文化なのだ。胃腸だけが消化に関わるのではなく、心も大きく関わってくるのが食であるはずだ。
アンガールズの方にとって、インスタントの唐揚げこそが最高のおかずだったのだろう。
【仲間との昼休み、昨日のTV、午後の体育、好きな女の子の話、家族との喧嘩など】日常の想い全てが、弁当の時間に凝縮され、スパイスとして唐揚げに詰まっていたはずだ。それは、高級ホテルでは決して食べられない最高の一品。
そんなジャンクの何処がいったい恥ずかしいのだろう。
赤の他人にバカにされる筋合いはない。
人生も又、同じでないかと思う。
選びたくとも選べない瞬間あり、理想だけで生きられないしがらみ。時に凹み、長いものに巻かれ、心の中の清らかさは失われる。
だけども、そんな過去に肩を落とす必要はない。
高級な唐揚げを食べられる人生も良いが、乾いたパサパサの唐揚げを馬鹿にされても、胸を張って『私はここで生きて来たんだ』言える人生でありたい。
7月のアナトミック骨盤ヨガ。
かっこ悪い私に胸を張る時間。
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