ヨガフェスタ裏話〜教科書にはない前捻角〜

 

 

「おい!この角度、ゴニオで測ってくれ!門外不出って言われているから、絶対誰にも見せるなよ!」 

 

8月お盆明けの平日の朝、やや興奮気味の内田先生から「LINEに送った写真を見ろ!」という電話。

 

開くと想像以上の前捻をした大腿骨頚部の写真。ゴニオメーターで測ってみると、なんと47度ありました。

平均値15度とされる大腿骨頚部の「前捻角」。

 

この時内田先生は、新潟のとある医療系の大学で1週間、本物の人骨標本を用いた骨学セミナーに参加していたのでした。

 

目的は…秋のヨガフェスタ。たったその1日、90分の講座のためだけに。

 

こんにちは!Yoga Anatomy Lab.プロデューサーのさかたのりこです。

 

今年も9月の三連休に開催されたヨガフェスタ、内田かつのり先生の「アナトミック骨盤ヨガ®︎」そして座学の「身体が硬い方のためのヨガ指導」、ご参加いただき誠にありがとうございました!

おかげさまで両クラスとも満員御礼!予約サイトに記された「満席」の二文字は、今年新たなスタートを切った内田先生へ送られた、皆様からの応援メッセージそのもの。

大変感謝しております。

 

実は急遽受け持つことになった、指導者向けクラス。

 

ちょうどインスタライブで話題に取り上げていた「前捻角」がもたらす可動域制限について、もう少し深掘りしてみようか!ということになりました。

そんな話が決まったのは、たしか7月の初め。

 

 

 

その時、ある疑問が湧きます。

 

”捻れはどこから始まるのか?”

 

 

 

繰り返しですが「前捻角」とは大腿骨頚部にある捻れのことで、簡単にいえば、大腿骨頭が骨盤に向かっていく角度のことを指しますが、果たしてその捻れは「頚部」だけで起きているのか、それとも大腿骨全体が捻れているのか

 

内田先生が持っている膨大な医療系の書籍や資料にも、それについて書かれているものはありませんでした。

 

もしも、大腿骨頭全体が捻れているとしたならば、小転子の位置だって変わってくる?

 

そうなると大腰筋や腸骨筋の起始・停止の距離も変わり、筋肉の質量が小さくなる可能性もある!?

 

つまりは柔軟性だけでなく、筋出力が変わってくるかも?!?!

 

って話になってくるわけです。

 

 

 

これは骨を見にいくしかない!

 

 

 

ということで、偶然にも開催2日前にキャンセルで空席が出た骨学セミナーの切符を勝ち取り、内田先生は新幹線に飛び乗ったのでした。

 

 

さてさて内田先生が新潟で触れた大腿骨の「前捻角」。当然個人差個体差があることは心得てはいたものの、約30対の検体に触れされてもらった時点で内田先生からは

「ここには15度なんてほとんどないぞ!」という驚きの連絡がありました。 

 

後からすべての角度を測らせてもらいましたが、15度以下の「後捻」に値するものは1体、その他の標本は30度超えは決して珍しいとはいえないほどの数で、左「後捻」右「過前捻」というものも数体ありました。

 

 

そして小転子については、私からの回答は避けたいと思います。

しばらくはヨガフェスにご参加いただいた方だけの特権にね!

 

 

 

皆様に知っておいていただきたいのは、内田かつのりという人物は、徹底的に自ら調べたものしか伝えないということ!

 

まだ一度も講座を受講したことがない方にはぜひお見知り置きいただきたい。

それだけの熱量を持った講師から学ぶヨガ指導者・セラピストたちも、熱情と気概を持った仲間が集まるコミュニティ、それがYoga Anatomy Lab.であります。 

 

 

ちなみに私もその一員として、新潟から帰ってきた内田先生の指示のもと、過前捻の大腿骨を作成いたしました!これは世界に一つだけの超レアな骨模型!

 

ヨガフェスのテキストは90分講座だというのに21ページのテキストになるという超大作(笑)

これもねぇ、裏話ついでですが、内田先生がまったく妥協しないんですよ…出来上がったのはヨガフェス前日の朝5時半(苦笑)

 

 

ヨガフェスから約1ヶ月後の10月14日、あの座学に参加してくださった方だけの特別講座

「非公開人骨見学会」を開催いたしました。

 

喰いいるように画面を覗くその眼差し、みんな相当マニアックだな...と嬉しくなる私。

この秋の学びに参加された仲間たちが得たことを私が代弁するとしたならば、通り一辺倒のアジャストの型やクラスでのリードは、最終的には一切通用しないものであるという気づき。

 

 

特にアジャストは、可動域制限がどこで起こるかを知らなければ怪我に繋がる、もしくはまったく無意味のアジャストになりますが、筋肉性であるのか、はたまた教科書通りには行かない骨性であるのかの理解のないまま、定型的なアジャストの型だけ覚えるのは当然危険。

 

 

では一般クラスで、多数の生徒さんがいる中でどう見分けるか。その方法として、おそらくラボの皆さんであれば、言葉の誘導を通して個体差を探ることをするのではないでしょうか。

仰向け・うつ伏せでの姿勢分析、触察、実際のアーサナに入った時の関節のポジション・アライメント、それによっては予定していたシークエンスの変更も!

 

皆さんの引き出しこそが腕の見せ所。

 

どの教科書にも載っていない「前捻角」。皆さんの佇まいがより一層キラリと際立ちますように!